続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

想像力を働かす

仕事柄、さまざまな業界の経営者と話す機会が多いけれど、共通して思う事は、

 

「経営者は経営者の立場からものを見るのだな」

 

ということだ。

 

昨日の町工場のおっちゃん、いい人だった。こういう人が地道に一隅を照らし続けて、日本の製造業を支えて来たのだなあ、と思う。

 

しかし、人間は誰しも「自分が通って来た道は正当な理由や合理性があり、それがまっとうで正しい道なのだ」と経験則で判断しがちだし、年齢を重ねればさらにそれが固着するし、

経営者は経営者なりに働く人のためを思い、譲歩してやっていると思っている。

いずれも良かれと思ってなんだろうが、個人的にはその主にふたつの事が、雇う側雇われる側の間にどーうしても、こう、いかんともしがたい文法の違いというか、ずれを生んでいるような気がする。

 

たとえば「日本の若者はやる気がない」じゃなくって、どうしてやる気が出ない状況があるのか。逆にじゃあ外国人はなぜ、やる気があるのか。どうして若い人が誰も製造業を志さないのか。

 

それらを精神論でまとめてやっつけてしまったら、それまでだ。

若者も取材していて思うが、今の若者はけして本来「怠け者で無気力」なんかじゃない。自分たち、ましてやバブル世代が学生だった時に比べて、気の毒なくらいまじめで忙しそうで、汲々としている。ちっとも楽してない。

 

大学生に関していえば、学費は昔よりものすごく高くなっているし、就活は入学してからすぐにちらつきはじめるし、明らかに昔より不安で多忙そうだ。

多くの大学にキャリアセンターなるものがあって、適切な社会人としての演出方法もそこで学ぶ。決められた定型に自分を押し込めることで受け入れてもらう訓練も積む。その馬鹿馬鹿しさになかば絶望しながらも。

 

反面、「雇われる」ことに縛られないでいいんだ、自分で自分の仕事を作っていくんだということに気付き、実際にアクションし、考えを共有できる仲間を持っている層は、手に負えないくらいに生き生きとして、話す言葉も頼もしい。

 

そういう様子を見ていて、今「雇われる」しか選択肢がないことは、非常に大きなリスクを抱えた生き方なのじゃないだろうかと個人的には思っている。

 

あらゆる教育や社会の構造上のことを一言で簡単に説明はできないけれど、はっきりと思うのは、若者たちは塞がれて、搾取されて、さらに自分が悪いからだと思わされている、ということ。

 

彼らにはどうしてもやる気になれない状況があるだけだ。ということ。

 

 

自分がこの若者の立場だったら?自分がこの外国人の立場だったら?ということを、その将来も含めて、少しでも想像してみれば、知る努力をすれば、たくさん見えてくるものも、活路もあるのになあ。

 

「相手の立場になって考えてみる」ということ。

なんと当たり前で、平凡な意見と思うだろうが、会社の大小、経営者の人柄に関わらず、「すとーん」とそこが抜け落ちてしまっている人は一定数あるように見える。

本人も気がついていないのだ。無自覚って罪深い。

だから、自分の意識上「いい人」な経営者ほど、裏切られ感を感じ、ままならないと苦しんだりするのだろう。

 

また、「自分はできる限りのことはしている」ということ自分なりの正しさに固着して、「いったいどこまで譲歩すれば満足するんだ」という逆ギレモードに入ってしまう経営者って、むしろその想像力だけはけして使うまい、と心に決めているかのようだ。

 

雇用はどうしても利害関係がベースにあるから、裏切ったり裏切られたりがつきものだし、経営者はどうしても人を「自分の富に寄与するための都合のいい駒」としてカウントせざるをえないところがある。

経営者自身も生き延びるのに必死だし、さらに会社の規模が大きくなればなるほど、どんどん個人は見えなくなっていくのだろう。

 

インタビュアーとして、利害の外側から分析も助言もしない立場からクールに見ていると、「なんでそんなちょっとした想像力を働かせず、別の小難しい理由づけをしてうんうん悩んでいるのだろう」と偉そうについ思ったりもするのだけど、

 

しかし!それは、私が遠い部外者で一度限りのゲストだからこそ言えること。

自分も日々深く関わっている関係性の中でそれができてんのかよ?と言われると、

まず子どもに対して出来てない・・・すんません〜としか言いようがないわけで。

えらそうなことぶってすんません。

でも、断じて今の若者は怠け者なだけではないと思います。 

 

 

 

結局、あらゆる分野で同じことが言えて、相手に対する想像力を働かせることは、すごく心を使う、疲れることだから、なるたけ節約して生きていこう、という流れがあるように思う。

 

けれども、想像力を働かせると、逆にいろんな良いものが生まれて返ってくるので疲れも忘れるし、実際はどこまでも果てしなく元気になっていくんだよなあ、といくつもの素敵な顔が思い浮かぶ。

 

大事なのは、想像力を働かせることと「気をつかう」「空気読む」ってことは別、むしろベクトル真逆、ということだ。