続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「サーチ」

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2018年アメリカ作品/原題:Searching/アニーシュ・チャガンティ監督/102分/日本公開2018年10月26日〜

 

学校帰りのおっちんとシネコンで待ち合わせて鑑賞。

いやあ、良くできた作品でした。

映画って何千何万、もういやっちゅうほど作られて、色々な表現もやり尽くされたかのように思っても、こうして時々「その手があったか」っていうものが新たにあらわれて感心させてくれる。創造の泉は尽きることないのだなあ。

 

アメリカ映画だが、キャストは韓国系、監督はインド系で、そういうところも今どきな上、チャガンティ監督はまだ28才だけあって、刻むビートが違うというか。

映画の筋立て自体は、ある種オーソドックスなどんでん返しに次ぐどんでん返しのサスペンスなのだけど、とにかくテンポが秀逸。いささか早すぎるくらいだが、のめり込んでとても面白く見られる。

 

キレッキレで抜け目がなくて、伏線の回収が鮮やかでうあーやられたーという快感。

もちろん本作で一番取り沙汰されるのは、映画の最初から最後までパソコンの画面のみで物語が進行する、それがものすごく面白いものとして成立しているということなんだけど、

私はこのいくつもの伏線ー回収に関わるエピソードが絶妙に「今」を象徴しているセンスにぐっと来たなあ。

もはやいいとか悪いとかひとくちでは言えない。我々は肩までどっぷりコンピュータとコンピュータが提供する情報に依存しきっていて、もうそれなしでは半日たりともいられないんだということが、厳粛な事実として見せつけられるという感じ。

そして、このような状況が人々の心に何を及ぼし、どんな現象が生まれているかの絶妙なサンプルとしての物語になっている。

 

とにかく私たちの生活に深く入り込んでいるパソコンやインターネットをフルに駆使して物語がドライブしていき、そこは一見匿名性の世界のように見えて「足跡」みたいなものが無数にあって、それを手がかりに真実へと向かって行くという構造が、ただただサスペンスとしてめっちゃマッチしているので、誰にも面白くて発見や内省があり、他人事ではない感もすごい。

 

展開早そうだから小学生には難しいかな〜、上映中に質問しまくられたらやだな、と思っていたが、おっちんには全然普通に分かるみたいだった。一回だけ耳打ちされたのは、

「ねえ、ハッパってまやくのこと?」

だけである(笑)

 

終わった後、自転車で並んで帰りながらおっちんが、

「普通に顔見知りで、好感を持っていたのがはじまりだったのに、普通に知り合おうとしなくて、誰かになりすまして近づこうとする、近づけるってことから悪いことが次々起こってしまうんだね」

 

と言っていて、そこをキャッチできるのはなかなかのもんだ、と感心した。そして、

 

「リアルな人間付き合いもネットでの人間付き合いも、表裏が多くて辛くて嫌になっちゃう。おっちんはみんなと文通で付き合うのが夢なの。手紙ならちゃんと思ったことを書けて、誤解なく理解して受け取ってもらえるから」

 

と言っていて、このところ思春期まっただなかで嵐のような心持ちで過ごしているおっちん、若いって大変だね、とちくんと心が痛んだ。

 

 

 

チャガンティ監督は、元グーグルのCMなどを手がけていた人物で、彼が世に出るきっかけになったのはグーグル・グラスから見た映像だけで編んだ「Seeds」という2分半の短い映像。Youtubeで100万回以上再生されたそう。楽しかったのでシェアします。

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