続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「火花」

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2017年/板尾創路監督/121分

 

あまり期待せずに見たのだけど、好きだったな、この作品。私が関西人だからというのもあると思うし、何よりアウトサイダーに対するシンパシーがあるからだと思う。こういう、「やむにやまれん」「しゃーない」人たちにはどうしても愛着を感じてしまう。市川準監督の名作「大阪物語」を思い出した。

 

芸人の板尾が監督なのは、どうなのかなー?と思って見たけれど、芸人だからこその機微、演出にも納得性があってとても良かった。

肝が座っていて間を怖れない感じ、芸人ならではの言葉に対する感性が、分かっている人だからこその迷いのなさ。

そして、こういうある種「理解不能な」独特の人たちに対する深い共感と尊敬と愛情が滲み出ていてしびれた。

 

何より「芸人という生き方」とは何かということを肌で感じられたのが、この映画の値打ちだと思う。

格好ええなあ、格好悪いなあ、天才やなあ、どあほやなあ、まっすぐやなあ、嫌らしいなあ。

芸人という生き方は、相反する感情をかき立てる生き方だ。でも、体一つ、何の下駄も履かず、むき出しで真剣勝負な生き方は、好みはあれどすごいことには違いない。

さんまやタモリ鶴瓶みたいな人たちも、一皮剥けばいかがわしいのであって、のるか反るかの大ばくちに勝った希有な人たちなのだ。だからこその凄みを感じる。

 

人の魅力を見る映画だから、キャスティングが全てというところがあると思うのだけど、絶妙な配役で成功していたと思う。

 

特に、主役の相方ふたりがそれぞれすごいぴったり感だった。相方が安定してたからこそ、終始違和感なく安心して漫才が見られたんだと思う。

木村文乃演じた、神谷の恋人まきさんの風俗感溢れる母のような優しさを感じさせるキャラクターもすごい説得力だった。

ポール・トーマス・アンダーソンの「ブギーナイツ」で素晴らしいポルノ女優を演じたジュリアン・ムーアみたいだった。

 

桐谷健太も真実味あって良かったが、やっぱり菅田将暉なー。クライマックスの漫才、息詰めて見入ってしまう迫力と魅力、この人は若きスターなんだなあと思う。

若いイケメン俳優に全然興味がなく、今回はがっかりするかも、と思いつつ見るが、彼はいろんな役を自然に、でも存在感を持って演じていてすごいなといつも感心する。

 

もうすぐ終わるが、今放送中の深夜ドラマ「ディーリー」もおすすめ。ドラマ自体も、やっぱり菅田将暉も良いです。