続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「シェイプ・オブ・ウォーター」

昨夜からの大雨と風が冬を連れ去って行ってしまった。唐突に春が来て妙なかんじだ。

 

f:id:beautifulcrown7:20180203124106p:plain

今日は用事もなく、「シェイプ・オブ・ウォーター」の初日で映画の日。まだ小雨が残る中、朝一番の回を見に。

 

冒頭のシーンから、深く静かな物語の中にうっとりと導かれて、胸がわくわくと躍る。

隅々まで素晴らしい撮影や音楽がおりなす世界丸ごと、優しくて美しかった。

ノスタルジックで奇妙ですごくロマンチック。大人のおとぎ話の世界をひととき堪能した。

 

この映画の構想のそもそもは、ギレルモ・デル・トロ監督が幼い頃、「美女と野獣」を見て、「野獣は最後に結局美しい王子に戻る。なんで野獣のままじゃいけないわけ?そんなのしゃらくさくねーか?」という感想を抱いたことに始まるのだそう。

 

その少年の純な思い、大事なものを損なわないままに丁寧に作品が作られていて、キャストたちも秀逸。特に、主役のイライザを演じたサリー・ホーキンスは最高に可愛らしかった。

 

イライザは、私の大好きな映画のヒロイン「道」のジェルソミーナや「ロッキー1」のエイドリアンや「フィッシャーキング」のリディアを彷彿とさせる。

地味でどんくさくて、内向的でルーティーンを好み、けれど迷いなく大胆で剛胆でまっすぐな優しさとひたむきさを持つ。

誰も見てない、気がつかないところに、几帳面に小さく清潔な花を咲かせている野花みたいなひと。

 

あらゆる映画で、さまざまな恋が描かれるけれど、私は久々に「恋の気持ち」ということを思い出した。

恋の感情は、発情で、事故で、熱病みたいなものだけじゃないということ。

こんなに条件や理屈というものがない、ただただ無私な感情を久々にしみじみと感じたと思う。

それは、誰にもコントロールできない、いつ生まれて消えてしまうかも分からない不確実なものの上に立った、ひとときの奇跡のような、人間が持ちうるもっとも美しい感情なんだということ。

 

ギレルモ監督のオタク少年感が、最高にいじらしい形で結実したなあと思う。