続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

ニットキャップマン

川崎で座れたー。ラッキー。

もう11時だというのに、東海道線は満員だ。

今日は午後から4人立て続けにインタビューで、最終の方が終わったのがもう10時過ぎ。朝から準備でばたばたで、昼ごはんも食べずだったので、ちょっとげっそりするほど疲れている。とにかく終わって良かった。明日のことは明日考えよう。

さっき川崎まで、私の前に座っていた、黒いニットキャップを深々とかぶり、赤いくたびれたジャンパーを着た小柄なおじさん。

スマホでずうっと動画を見ていた。

なんだか短い尺の、奇妙なかんじの動画で、上から見下ろす私からよく見えてしまうので、ついつい自分のスマホ越しに観察してしまった。

動画サイトとかでなく、自分のライブラリの動画を次々にスライドして見ている。

どれも中国の田舎というか、少数民族のような身なりの子どもや大人が日常の動きをしている。

大きな中華鍋で巨大な骨つき肉を子どもが二人掛かりで炒めている。

お母さんが息子を着替えさせている。

夜市みたいなところで、ピザ生地みたいな小麦粉をこねて作ったようなのをぺしぺしたたきつけている。

ほとんどは何をしてるんだか意味不明な感じだ。

中国語の看板の町並みの中に佇む人々。

とっても下手くそで、だからこその作為のない生々しい映像の断片の数々。

ああ、これはおじさんの故郷と家族なんだろうな、と気付いてふと切なくなった。

東京の深夜の混雑した電車にぎゅうぎゅうに押し込められながら、遠く懐かしい故郷をじっと黙って見ている。

川崎で降りたおじさんはどんな家へ帰るのかな。ひとりぼっちでないといいなと思う。