続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

2017年の心に残った映画たち

今年も残り二日。

今日は「大そうじなんだよねー!」と張り切りモードんのおっちんに起き抜けにリマインドされ、

めんどくさいにゃあ・・・と思いつつ、適度に掃除をがんばる一日としよう。

 

その前にブログをひとつ。結局映画のことを考えているのが一番好きなんだなーとつくづく。

 

さて、今年も映画をいろいろ見て参りました。ここひと月ほどは中毒モードで、映画館とTUTAYANetflixを行き来している状態で、目がお疲れ気味。

特に心に残った作品は、個別のレビューを書き残しているので、重複するのだけど、2017年に見た、あくまで個人的ベスト5を書き残しておこうっと。

 

1位:ジム・ジャームッシュ「パターソン」

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目の前にいる愛する人々やものごとに丁寧に優しく接し、日々のささやかなサインの中に面白みを見出す。それがパターソンにとってのポエトリーである。

へんに深刻にならず、焦って雑にならず、おざなりにしなければ、日常は退屈を知らない。

そして、自分なりの楽しみを静かに追求すること、それをお金や成功に結びつけず、自由であること。何ものかになろうとしないこと。

いつの間にこんなにも複雑になってしまったんだろう?私たちは、何に追い立てまくられているんだろう?この作品を見ていてしんしんと思わされたことだった。

 

来年は、ますます生活の中のささやかなことに美と面白みを見出していきたいし、できる範囲で自分なりの楽しみを大事に、家族や周りの人を大事に生きていきたいな、と思う。

 

2位:デイミアン・チャゼル「La La Land」

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思い出すたび、いまだ小さく心躍るこの作品。今の時代に正統なミュージカルが蘇った、という感覚。お花のように美しく咲いて弾けているのに、繊細で微妙な味わいがある。

音楽がなにしろ素晴らしく心に残るし、柔らかな美しさを伴った、しかし色鮮やかでうきうきするような映像が忘れがたい。人生ってままならないけれど、やっぱり美しいと思える。何度でも見返したいお気に入り。

 

3位:バリー・ジェンキンス「ムーンライト」

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ラ・ラ・ランド」と同じくらい、今年見た作品の中で心に残っている1本。静かな哀しみが青のイメージと重なり合って胸がしんしんとせつなく痛む。

救いのない話のようなのに、どうして見る者をこんなに優しく慰撫する感覚があるのだろう。

思いがけない、青春時代に愛したウォン・カーウァイの再現。

 

4位:安藤桃子0.5ミリ

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今年Netflixで鑑賞、2014年の作品。忘れがたい1本。この映画の全部が無性に好きだ。

世の中の暗部や弱者に目を向け、作品をつくる人はいっぱいいる。

そういう作品は、深刻だったり、真面目で暗かったり、涙だったり、怒りだったりするものはとても多い。大事なことを伝えているのだけど、えてして分かりやすいストーリーを構築してそれをなぞっていたりして、「ハートウォーミング」とか「涙」とか「正義」とかの特定の感情を喚起しようとする。それかただただ気が塞ぐようにストレートにまじめか。

 

けれど、「0.5ミリ」は、映画をエンターテインメントとしてきっちり昇華しているのが何より偉いと思う。とても面白く見られるし、映像もとても良い。

こんなにも生々しく時に醜く、けれど滑稽でチャーミングに日本のおっさんたちを描いていて素晴らしい。

安藤監督の、見捨てられたような日本のおっちゃんたちに向ける目は、すごく面白がりリスペクトしながらも、へりくだるんではない突き放したクールな態度も同時にあって好ましい。主人公のサワが象徴するように、何の愛想も優しい言葉もないんだけど、けして見放さないしぶとさがある。

不潔も貧乏もエロじじいもなんも怖くねえし、というやぶれかぶれのたくましさにほれぼれする。

 

5位:中村高寛「禅と骨」

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今年見たドキュメンタリーで一番心に残った作品。書いてて気付いたけれど、感想が「0.5ミリ」とほぼ同様のことだ。

もう本当に予定調和で無理に整合性を求めたようなものを自分は見たくないし、そこで繰り広げられるお涙ちょうだいとかに心底うんざりしているのだろうなあ。

 

この作品には、矛盾だらけの現実、たまねぎの皮を剥いていくかのごとく根深い人間のエゴ、同時にやぶれかぶれの開き直ったような率直さが混在していて、人間のめちゃくちゃさに呆気に取られ、笑いがとまらない。爆発力がすごい。

 

現実を都合よく編集してはいけないし、そんな浅はかなことをして作品は良くなることはない。

確かに、善悪白黒きっぱり単純化されているもの、ヒロイックなもの、どこまでも分かりやすいもの、逃避的なものを求める観客は多くいて、多くの映像作品がその期待に沿うようにして作られているゆえに、日本のテレビや映画は今のような状況になっているのだとは思う。

その結果、相乗効果的にますますだめだめに向かっているという・・・。

 

分かりやすいものに世の中が熱狂しているような時、決まって故淀川先生の言葉が胸の片隅で蘇る。

「あんたね、こんなもんに騙されたらだめですよ」

淀川先生が芸術に向き合う姿勢はいつも私のお手本だ。

 

作り手が存在をかけて試行錯誤してめっちゃ面白いもんつくってやる、という意気込みと、「どこを、どのように見ているか」のまなざしが深みをもって調和した時に、ぐあーと打ちのめされるみたいに感激してしまうんだと思う。

 

 

 

他にも今年も本当に面白い映画がたくさん。見逃したものもたくさん。

来年明けて早々は、デヴィッド・リンチのドキュメンタリーやスリー・ビルボードを見るのが楽しみだなー。

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