続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

ジブリ美術館へ

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昨日はおっちん念願のジブリ美術館へ。

 

井の頭公園の中にあるベトナム・タイレストラン「ペパカフェ・フォレスト」(味は普通だが、活気があって出てくるのが早い。何よりロケーション最高)でランチを食べてから、紅葉の公園をてくてく美術館へ向かう道のり、1キロはゆうにあるのだけれど、あんまりきれいで清々しくって少しも苦にならない。

 

美術館は、ディズニーランドのような感じもちょっとありつつ、こんだけの規模であっても「らしさ」を失わない、中心を外さない感じに好感。

おっちんはすごく喜んでいたし、大人にも見応え十分で、とても楽しめた。

 

働くスタッフの方々も、みなさん穏やかで感じが良かった。

ところで、ジブリ美術館に限らず、今の東京及び地方都市のおしゃれスポットやレストラン、大きな企業も含めてそうだけれど、「こぎれいでソツのない見た目で、静かに口角を上げて微笑む感じ、あくまで物腰柔らかく、声が小さい」というある種の定型的な若い人々がもうほんとに多いなと思う。これが今のソフィスティケイトのかたちなのです、というような。

趣味も良く感じも良い人々に別に何の異議もないのだけど、どうしてこうもトーンが似通っているのじゃろう、と不思議な思いにとらわれる。

 

しかし、この建物の王さまである宮崎駿という人は、そのようなソフィスティケイトなんて全く我関せずな、頑固で自由な感じだっていうのが、まあ皮肉というか、面白いというか。

 

美術館限定で見られる、宮崎さんと久石さんの黄金タッグで作られた10分程度の短編は、「はーつかれたやっと座れるどっこいしょ」という気分で見始めたのに、30秒でばっと目が覚めた。

想像力がばたばたと飛翔していて、暴れ回っている感じ。細部まで曖昧なところがなく、ねじくれるようなエネルギーがぎゅうーっと詰まっていて、真剣にめっちゃふざけていて、やっぱりすばらしい。

しんとした小さな劇場で私がひとり声を出して笑うので、おっちんに「シーッ!」と怒られてしまったけれど。

 

見終わっての感想は「もう、存分に長編作らせてあげてほしい」。だって、これだけのパッションが出口を求めてとぐろを巻いているようなものを見せられたら。いろいろ周辺の事情はあれど、宮崎さんの生きる道と、彼が唯一無二の才能の持ち主であることは明らかだ。76才にしてこの感じ。ホドロフスキーみたい、気味が悪いほどエネルギッシュな老人だ。

 

素晴らしい若いアニメクリエイターはもちろんたくさんいるけれど、彼に真っ向張り合うだけの巨大な才能となると、今のところやはりなくって、それは残念なことなのだろうけど、

それだけ宮崎さんがいろいろな掛け合わせでもって生まれた奇跡みたいな人なのだろう。死んだらそれまで、もうどうしようもないっていうところはある。一ファンとしては、同時代に生きられたことを感謝するのみ。

 

企画展、常設展含め、小さい施設ながらいろいろ見どころはあって、子ども向けよりは大人向けで、クリエイターや創作志向の人なら一日中いられるような場所だった。

 アニメーションというのは、分かっちゃいるけど途方もない作業の集積でできているものだと改めて感じた時間。

 

私のお気に入りは、たくさんのラフスケッチが画鋲でびっしりと壁中に張り巡らされた創作ルームのスペースで、ため息の出るようなスケッチの数々はもちろん、宮崎さんがアニメの職場についての私見を書いているのや、コンテはもちろん、プロットの前段階のなぐり書きメモなどを見るのも、脳みそをのぞき見ているようでとても興味深かった。

 

その中で、印象に残った小さなメモ書きがあった。

「アニメーターは日がな机にかじりついてずっと絵を描き続けて、よくやっていられるなと思われるのですが、みなわりと平気でやっているのにはわけがあります。

(この時点で大いに異を唱える若手がいるであろうことは想像にかたくありませんが、それはともあれ)

アニメーターは仕事で絵を描いている間じゅう、物語の世界にどっぷりとはまりこんでいるのです。誰の指図も受けず、なんの気遣いもなく物語の世界に旅しているので、精神的にはストレスがないんです」

言葉は正確ではないけれど、このような内容だった。

 

もちろん、これはあくまで創作者である宮崎さんの感じ方であって、「宮崎さんの物語」を具現化するために仕事しているその他大勢のスタッフが同じであるということはないとは思うけれど、私はこれを読んでいろんな意味でなるほどなー!と腑に落ちるものがありました。

同じ時間働くのでも、肉体労働や工場労働といった、自分の感覚と常に向き合いながらじりじりと時間が過ぎるのを感じつつ行う仕事とは根本的に異なるんだということがようく分かった。

 

 

夕方震えながら行列して、魔女の宅急便のチョコケーキ、ポニョの「あらしの夜のハムラーメン」、畑のポタージュ(なんの映画の食べ物だろう?)などを食べ、帰途に。久々の家族のおでかけ終了〜。電車が空いていて助かった。