続・みずうみ

小さく平凡な毎日の中で、自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「マイヤーウィッツ家の人々」

f:id:beautifulcrown7:20171019105214j:plain

ノア・バームバックの新作は、劇場では公開されず、Netflixで公開。お金のパワーには誰も叶わないなあ。

 

既視感あり。先日久々に見てブログでも書いた「イカとクジラ」と良く似た話だ。

ニューヨークの知的エリート層のジューイッシュの監督がニューヨークを舞台に撮るという時点でどうしてもウディ・アレンを彷彿とさせるし、また実際その通りな映画作りであるところはあるんだけれど、やはりウディとは違う。

 

それは距離感。

映画の外観やスクリプトの組み立てはウディ・アレンの雰囲気。でもウディの物語はいつも風刺とペーソスの効いた「大人のおとぎ話」なのに対して、バームバックの物語はもっと「自分の物語」。彼自身の葛藤やこだわりや苦しみといった生々しく消化されていないものがそのままに投影されている。自己慰安という側面を持った作品だと思う。

それがいけないということではないが、ひとときの甘く苦い夢のように物語を旅するというウディ・アレン映画の持つふくよかさを改めて思わされた。

 

ダスティン・ホフマンアダム・サンドラー、とても上手に化けていて、さすがだなあと思う。いつも何かしら「こうむる」役のベン・スティラーも安定感。

 ダスティン・ホフマンの嫌なおやじの説得力のあること。ねじくれたプライドを長年古い粘土みたいにぺたぺたと貼付けてきて、もういかんともしがたくがちがちに凝り固まったどうしようもないあの感じ。ひたすらはた迷惑という感覚がひしひしと伝わって、でも「そうそう、家族の付き合いってこういうものだよね・・・」という納得性にため息。

 

最後に「ありがとう、ゆるすよ、さよなら」とつぶやくアダム・サンドラーのつぶやきは、「イカとクジラ」で最後にむせびなくジェシー・アイゼンバーグの姿と重なる。多分、監督そのものそのまんまなんだろうな・・・と思う。

 

全編に渡る、素晴らしいリアリティーと洞察力。けれど、家族というものの業の深さを描いた作品では、私は「レイチェルの結婚」の方が好きだな。もっと普遍的で考えさせられた。