続・みずうみ

映画のことを中心に、小さく平凡な毎日の中で自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「The Squid and the Whale」

と、いうわけで久々に「イカとクジラ」を見直す。

 

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ノア・バームバックの懐かしい作品。これ、初めて見たときすごく気に入って、スクリプトが欲しかったのだよなあ。あれからもう10年以上経つのか。

 

 

自意識過剰な、さも正しそうな両親の元で揺れ動く、2人のティーンエイジャーの少年。

しょうもない大人たちだなあ、といい年した大人から見れば思うものの。

ノア・バームバックの自伝的要素を含んだ作品なんじゃないかと思われる。総括的に少年の日々を俯瞰している視線をひしひしと感じる。

 

しかし客観性がやはり素晴らしいなあ。人間のしょうもなさと、その奥に秘められたそれぞれの必死さが、すごくありありと人間を描いていて遠い国に住む私の心に切実な既視感をもたらす。

どのキャラクターにも「あーあ」と思いながら、どこか我が事のように感じさせる。その、当事者性の感覚。やはりバームバックは素晴らしいなあ。

 

ジェシー・アイゼンバーグ、やっぱり良かった。ラストのこらえきれずむせび泣くあのシーンの繊細さ、本当に微妙で素晴らしい。初めて甘えた子どもでなくなった、あの切ないシーン。それから病院を走り出て「イカとクジラ」を惚けたように見入るラストシーンへの高まり、ああ、これが映画の表現だな、とすごく心が満たされる。

 

たった80分ほどの作品と思えぬほどの重厚な、映画を見た、という感覚がさすがと思う。