続・みずうみ

小さく平凡な毎日の中で、自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

台北雑記2

思いつくままに、台北のこと。 

 

西門

ホテルのあった場所は西門駅のすぐ近く。雰囲気としては新宿と渋谷が合わさったみたいな強烈な繁華街。駅の正面には巨大で真っ白なH&Mのビル。右手には渋谷のセンター街みたいな通りがあって若者が行き交う。ユーチューバーみたいな若者が撮影しながら弾丸のように喋っているのを多くの人が取り囲んでいる。

菊地成孔じゃあるまいし、人が寝起きするような所では到底なし。知らなかったとはいえ、なかなかすさまじい場所だった。一見東京のようなんだけれど、裏通りに入ると鼻をつく臭い。アジアだな、と思う。

そんな所にあるホテルは、当然窓を開けると目の前に迫り来る壁。部屋にいると今が何時か一切分からず。

まあ、朝から晩まで出ずっぱりだったから、アクセスは最高で良かったとしよう。しかし次回からはもうちょっと人間的なロケーションがいいな。

深夜まで人ごみで混沌としていて、朝は祭りの後のような、疲れたごみだらけの街をユニフォームを着た清掃員の人たちが黙々と。淡々とほうきを動かしている。

 

物乞い

西門駅から出て街へ出ると、まず最初に目に飛び込んで来たのは、久々に見る相当なレベルの様子の物乞い。脚が付け根からなく、煤けて真っ黒の体を横たわらせている。

どこへ行くにもまず駅へ行くので、何度となくこの場所を通ったけれど、縄張り制が敷かれているのか、時間によってくるくると人が入れ替わる。ハーモニカを吹いたり、車椅子で二胡を弾いたりしている人もいた。

何度かお金を入れたら、どの人もすごく目を見て「謝々!」とわりと大きな声で言うのにびっくりした。一見の見た目よりもずっと生き生きしていたから。

顔も覚えていたらしく、私の顔を見ていきなりハーモニカを吹き出した人がいたと妹に指摘された。

物乞いの人たちに限らず、人の生命力や熱量の高さのようなものは、台北にいる中で何度も感じたことだった。

迫り来るみたいに建つ高層ビル、華やかなネオン。行き交う人たちの笑顔。その合間に物乞いが気まずい染みのように、ぽつりぽつりと座り込んでいた。

 

MRT

台北市民にとって最も身近な交通手段はMRTと呼ばれる地下鉄とバス。バスは初心者には相当難しいので今回は手を出さなかったけれど、MRTには本当にお世話になった。毎日1日券を買ってうろうろ。

路線の色分け・行き先表示ひとつとっても、とても分かりやすい。東京メトロより全然ストレスない。本数はひっきりなし。電車自体もきれいで、日本みたく広告だらけでなくスマートだ。冷房が効いている。20元〜30元程度で誰でも市内のどこへだって簡単に行ける。空港から台北中心地へ向かうMRTの車内には、スマホの充電器まで設置してある。

構内は完全にバリアフリーだからか、一人で電動車いすに乗ってブイブイ移動している人をどの駅でもしょっちゅう見かける。その電動車いすのスピードがまたなかなかのもんで、直線的に「ぶいーーーん」とたくましく縦横無尽に走り回っており、おっと、と慌ててよけたりすることもあった。元気でいい。

 

カウントダウン式

MRTの電光掲示板は、カウントダウン式。「2:15」とあったら、あと2分15秒で電車が着くということ。5秒ごとに情報が更新される。

 

都心の横断歩道の信号もカウントダウン式。片道4車線くらいの幅広い道路でも、45秒スタート。グリーンの歩行者マークも手足をせからしく動かして、歩いているというよりは走っているみたい。

お年寄りなんかは、信号が変わる前からじりじりと前のめりでスタンバイしている。そうだよね、このスピードは心の準備がないと渡りきれないよね。

台北の呼吸は結構早い。

 

スクーターの族

台北市内は、スクーターがすごく多い。エリアによっては、路肩にびっしりスクーターが路駐されている。夕方、大きな道路で横8列くらい、全部で20台とかのスクーターが、ライトをぴかーと点けて信号待ちしている姿は、「族」そのもの。なのに顔を見ると、周近平似のおっちゃんだったりするので可笑しい。

 

ジューススタンド

日本以上に湿気の多さに参ったけれど、ペットボトルを携帯する必要がないくらいに、あちこちにジューススタンドがある。台湾の物価は日本の70〜80%といったところで、ちゃんとしたものを買おうとするとそれなりの値段なんだけれど、それでもジューススタンドの飲み物のバリエーションの多さと、好みの甘さと氷の量にカスタマイズしてくれるのにはご機嫌だ。

フルーツは当然ストレートで濃く、お茶もはっとするほど濃くて香り高い。日本のようにプラスチックの蓋をはめるのではなく、どの店でも当然のように専用の機械でフィルムをぴったりシュリンクする。そこにストローをぶっさして、カップのサイズの細長いビニールの手提げ袋に入れて渡してくれる。

うだるような暑さの中、もちもちプリプリのブラックタピオカ入りの紅茶を何度も飲んだ。飲みきれないほどの大きなサイズがレギュラーサイズで、40元。太いストローですぽぽぽぽ!とタピオカを吸い上げてもぐもぐしながら歩き回っていた。

 

店員さん・係員さん

台北の店員さんたちは、誠品書店みたいな所を除いて、みんな基本フレンドリーというか、前のめりだ。ちょっと興味がある仕草をするとすぐにすすーっと近づいて来て、いろいろと話しかけて来る。でもがつがつぎすぎすしてなくって、買わなくても、ちっ買わねーのかよ、というような風はなく、「謝々〜」とのんびり見送ってくれる。

東門ではお目当てのレストランが休業で、あえて王道の「鼎泰豊」へ行ったのだけど、予想通りのすごい行列店だったにも関わらず、店員さんのぎすぎすしてないことには驚かされた。ゆったりした笑顔で、ジャスミン茶が減ったらささっと継ぎ足しに来てくれて、一日何度も同じ説明をするのだろうに、にこやかに小龍包の食べ方をレクチャーしてくれる。それが、マニュアルっぽくない、それぞれのキャラクターらしい感じがあるのが素晴らしいなと思ったし、出て来たご飯も丁寧な味がした。

空港の駅では係員のおっちゃんが近寄って来てMRTの路線図をくれて、色々教えてくれた。

お寺の中でも、勝手に色々教えてくれようとしたり、仏像ポストカードや本なんかを持たせてくれるおばあちゃんがいたりする。

さすがに忙しいコンビニの店員さんなどは、東京と似たり寄ったりの無表情だけれど。

思うに、人と関わること、会話することについて東京よりずっと気楽に構えているムードがある。「おもてなし!」って無理ににこにこするんでもなくて、人と接することが単に何でもないフラットなかんじ。日本とも、中国の本土の感じとも違う。もっと心地良くゆるんでいた。