続・みずうみ

小さく平凡な毎日の中で、自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

インタビューについて思うこと

むはー、き、きつかったなー!

2日がかりで、やっとこ某業界プロデューサーのインタビュー記事が書き上がった。

最近は、録音データを聞きながらテープ起こしは省いてそのまま記事にまとめていくことが多いのだけど、この録音データがくせもので、相手がどうこうってんじゃなく、自分のだめさ加減をあらためて聞き直すのがどうにもこうにも苦痛というのがある。

 

時々、ひどい自分のインタビューに出くわすと、「ぎゃー」とさけんで思わずストップボタンを押してしまう。昨日は途中であまりの羞恥に続行不可能になったというわけ。

 

言い訳になるけれど、この方へのインタビューの日は、午前中にすごく濃い、そして強く共感できる方へのインタビューがあり、大幅に時間をオーバーして熱く語っていただいていたんだった。インタビュー後は、へろへろのかすかすで、準備もいい加減なものだった。

 

その上、自分自身基本的に「プロデューサー」という仕事がどーにもこーにも好きになれん。「広告代理店」の次に苦手、という意識があるなかで、それこそ広告代理店に向かって仕事しているみたいなそのプロデューサーさんの立ち位置について、ごく正直に言えば、リスペクトが不足していたと思う。

 

もちろん、ひとつも失礼なことは言っていない。丁寧で、和やかで、漠然とした質問もしていない。けれども、「何に着目し掘り下げていくか」「返ってきた答えに対しどう深めるか」という部分で、もう全然だめだ、穴があったら入りたい、というかんじ。

 

文章は、編集だから、いろいろな部分が削ぎ落とされている。だから、結果としてあがってきた文章はまがりなりにも形はなる。クライアント的にはそれで別段オッケーなのが悲しいところで、ひとり地味に自分なりのクオリティーにこだわっているだけなんだけれど。

沈黙や「間」は文章には表現できない。会話は相互性のある化学反応であり、対話者は言葉だけでない、いろいろなものを交換し合っている。ああ、だんだん、だんだんと下り坂になっていく会話よ。

 

もう本当に、疲れているのはだめだし、相手を好きになろうという気持ちが不足しているのはだめだし、謙虚で素直な好奇心が欠けていたなら、何も豊かなものは相手から引き出せないんだなあ、とすごく反省した。

 

普段から、喋り方が下手とか、なんどもしつこく聞くとか、関係ないようなことを聞くとか、そういうのは毎度のこと。「はー相変わらずスマートじゃないね」とは思うものの、結果が引き出せて、そして相手をきちんと尊重できていれば、自分の格好悪さは全然許容できる。けれど、相手に対してベストとほど遠い、きちんと全身で傾聴できていないというのは無理。ものすごく恥ずかしかった。

 

原稿を起こす段階で資料をも一度読み込んだり、映像を見たりすると、すごく興味深い要素がたくさんあって、きっと面白い部分をたくさん持った取材者のはずだった。多忙を理由にろくに下調べしなかった。

せめてきちんと人と出会った、という実感を残す時間にするようにしたいなと思った。

 

対象への勉強不足よりは、調べていったほうがもちろんいいんだけど、そこは多分一番じゃない気がする。インタビューって、上手であったり、丁々発止であったりするのが上等なことじゃない。下手は下手なりの良さがある世界。

自分は、やはり疲れていないことが何より大事と思う。余白に相手の言葉を染み込ませ、素直なラリーを続けるには、好奇心と対象への愛情が不可欠。

 

今回のインタビュイーに関しては、思いやりというよりは、「変な気遣い」みたいなことだった。くだらん。はー、でも勉強になった。これからがんばろっと。

 

 

ところで、インタビュアーというのは、そもそも「格好悪い」人なんだと思う。ある意味、読者に代わって格好悪い立ち位置を代表することもある人。全部がそうとは一概に言えないにせよ、インタビューの対話にはそういう側面が必ずあると思う。

 

だから、自分の意見を得々と披瀝していたり、取材者に負担をかけるような抽象的な質問をして「それっぽい質問したな」とどや風になっていたりする聞き手にはつい、違うやろ、と思ってしまう。

 

基本、相手へのリスペクトと礼儀を忘れない範囲において、なんでも素直に子どものように聞くがよしと思っているが、ひとつ絶対しないと思っている質問がある。それは

「あなたにとって◯◯とは何ですか」

という質問。

 

必ず聞いたことがあるはず。「あなたにとって女優とは?」「あなたにとってサッカーとは?」「あなたにとって教師とは?」とか。スポーツ番組やオリンピックのインタビューでは、定型句とも言えるこの質問を、わたしはほとんど憎んでおります。

 

一度、自分が言われてみればよろしかろう。「あなたにとって人生とは」「あなたにとって結婚とは」気の利いた答えができる人がどれだけいるだろう。てか、どんだけ丸投げやねん。こういう質問は、マウンティング行為でもあるという意味でも、わたしは好きくない。

 

それにしても、インタビューは面白い。世の中には、面白くない人なんていないからだ。下手でもそれなりの良さを見出せるインタビュアーって、めっちゃポジティブな仕事だと思うなあ。つくづくありがたいことである。