続・みずうみ

小さく平凡な毎日の中で、自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「ムーンライト」

5月に入ってしまったけれど。

今年のアカデミー作品賞を穫った「ムーンライト」。

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こういう地味で低予算の作品が、オスカーを穫ってくれると、近所のシネコンで見られるのでありがたい。自転車10分、遠出しないで済む。

 

この作品は、簡単に言葉で語ろうとすればするほど、陳腐になってしまう映画。だから、今はあまり書きたくないという気持ち。

何日経っても、しんしんと胸に鈍い痛みが残る。ああ、なんていい映画だったろう、と、ただただ、今はそう思って、思い出すたび噛み締めている。

深いさびしさをたたえた3人のシャロンたちの瞳が、目に焼き付いて、可哀想に、可哀想に、と思って泣けて来る。

 

さびしい心に、傷ついた心に、いたいけな心の核のところにあるピュアな思いに、こんなにも寄り添ってくれる優しい映画は、それほどは多くはないと思う。

 

いや、こういう気持ちで見ていた映画がかつてあった。

どこまでも寄る辺なく、ひとりぼっちという気持ちで何度も見た映画が。

ウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」。

ああ、この映画はまるでブエノスアイレスだ、懐かしいなあ。思い出す、思い出すなあ、と思いながら見ていたら、

画面から出し抜けにカエターノ・ヴェローゾの声が聞こえて来て、まさに「ブエノスアイレス」で流れていたあの曲が流れて来て、はっとさせられた。

 

人を、具体的に救う力がものすごく強い映画と思う。

時間の精査に十分耐えうる、普遍的な深い物語。

 

映画を見終わった後に、ああ、そうだったのかとしみじみ思わされるキービジュアルのデザインも、素晴らしかった。