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続・みずうみ

小さく平凡な毎日の中で、自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「Meet the filmmaker 河瀬直美」のこと

thought

台風台風と騒いでいたほどの事は無く、朝には穏やかな天気。

昨日の夕方、騒がしい人たちが無事合宿から帰って来た。

楽しかったようで何より。

めんどくさいんだけど、やっぱり帰って来ると嬉しい。

 

昨日の迎えまでの時間、遠出もできないので、久々に気を入れて庭の手入れをしていた。

落ち葉を掃き集め、伸びすぎた枝を切り、蜘蛛の巣をはらい、雑草を引っこ抜く。

どうして庭仕事は心がこんなに落ち着くんだろう。

でも、今は蚊も多いし、億劫でろくに世話をしていない。

途中でばーっとスコールに降られ、濡れてしまったのも気持ち良く、麦わら帽被り、タオルを首に巻き、淡々と庭をきれいにしていった。

 

作業をしながらポッドキャストを聴いていた。アップルの企画で色んな映画関係者のロングインタビューをする「Meet the filmmaker」という番組があって、興味のある人が出たら時々聴いている。

それで、随分前に収録された映画監督の河瀬直美の回があったので聴いてみた。

 

いやあ、相当興味深かったです。先日の映画のジェイミーがここにもいた!というかんじで。

だからこそ彼女は幾つもの映画作品を作り上げ、世に出て来たのだなと思わせる、ある種突き抜けたエゴイストぶりにのけぞった。

 

何というか、ただ身勝手なだけじゃないのです。自分の利益になることの為にいやがる相手にそれを強いたとしても、仕事の枠を越えてその人のプライベートな人生に関わる部分において「彼女の作品のために」それを強いたとしても、「それはその人にとっていいことなのだし、相手に対して愛があれば物事は良き方向に進んでいくし、ほら、私の言うとおりになったでしょう。私のおかげで」ということを、さしてごりごりした態度でもなく、たおやか〜な声音で言うのです。

 

「俺の芸術のためになんとしてもそれをする、俺の責任において」という態度では、むしろ片手落ちという勢いだ。

自分の打算に対する自覚も、自分を省みる揺らぎもなく、むしろ「私のおかげであなたはブレイクスルーできたのだ、私との出会いを感謝すべき」というくらいの無自覚の自己合理化が瞬時に彼女の中で行われているのだなあ〜と呆気にとられる思いで興味深く聞いた。

 

ここまでのすごさって、以前観た「アクターズ・スタジオ・インタビュー」でのジュリア・ロバーツ以来であった。

でもだから、彼女の作品てどこかシンパシーを抱くことができなかったのだなと納得するところもあった。

 

けれど考えてみるに、男性の監督でそういう演出をする人、何人か思い浮かぶ。「アデル・ブルーは熱い色」でのアブデラティフ・ケシシュとか、日本では「ぐるりの人」での橋口亮輔なんかも、制作時、相当役者を追い込んだというエピソードを以前読んだ気がする。

女性の敵は女性というか、同性でありながら、いや同性だからこそ彼女の「ある種の歪んだ揺るがなさ=芸術家としての資質」のようなものにより嫌悪を感じるのかもしれない。

 

ベテランというか、老年の常田富士男に、来る日も来る日も理由も告げず海岸のゴミ拾いをさせたエピソードもさらっと言い、「そのおかげで常田さんはこの境地に至れたんです」という辺りも、す、すごいなあと思ったけれど、

同時に女性でありながら大先輩に対しての気遣いや敬意を表するよりあくまで「作品のコマのひとつ」とばっさり割り切るという、そこまでの堂々とした揺るぎない強さを持つ、相手のことを斟酌することもなく迷い無く目的に向かうストレートさを、どこかうらやましく思う部分が自分の中にあるのかもしれないと思う。

 

自分も弱い、時に不利な立場である女性であることで悔しい思いは人並みにしてきたし、人の気持ちを慮るために好きなように振る舞えなかったり、人間関係に思い悩んだり葛藤したりということが、やはり人並みにあったのだから、彼女がそれらから自由であることをうらやましく思うというか。

 

それというのも、以前スピリチャルな知人が言っていた「誰かを嫌いだと思う感情は、必ずその人をうらやましいと思う裏返しなんだ」という言葉がずっと心に残っているからでもあります。

 

かちーんときたら、それは実はうらやましい人。その物差しで一歩下がって冷静に考えてみると、なるほど確かにその通りだわ、と思うことが多いからです。

 

いいなと思わない人への感情も色々あって「あーあ」と思ったり、「自分はこうならないよう気をつけよう」と思ったり、「気の毒に」と思ったり。

「いけすかねえ!」と思ったとしたら、それはどこか自分にはできないことや、自分の欲しいものを持っている人だからなんだと思います。

 

でもね、まんま彼女みたいな人間にじゃあなりたいかと言われたら、それはもちろん違うのですけどね。

 

いずれにしても大したタマです!面白いインタビューだった。

 

さて、髪を切りに美容院へ。