続・みずうみ

小さく平凡な毎日の中で、自分が感じた色んなことを、湖のような落ち着いた心持ちで考えていきたいと思います

「はじまりのうた」

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こないだの「シング・ストリート」を受けて、遡って見る。

ああ、ロマンチックだったです。

映画としての完成度と柄の大きさは「シング・ストリート」がやはり上と思うけれど、進化しているとも言えると思うけれど、個人的な愛着を感じるのは私はこの作品の方だなあ。何とも言えず親密で生っぽい空気感が好み。

 

主演の二人、いいキャスティングマーク・ラファロはこの頃ブレイク目覚ましい役者さんだけれど、やっぱりいいなあ。この人の魅力って、見た目肉食系ではないのに、内面にふつふつと熱いものがあることを感じさせることなんでしょう。

キーラ・ナイトレイは良い意味でのフツーさ、健やかさのようなものが良かった。

劇中の素敵なさりげないワンピースの着こなしが清潔感があって目を引いた。

 

ジョン・カーニーの作品はいつも、劇中のオリジナル音楽が素晴らしく良くて、サントラもほんとに良くて、私は熱心な音楽ファンではないのだけど、「音楽の力」というものをいつも再認識させられる。

音楽そのものの良さを引き出すこと、それこそが彼の演出なのですね。見る者は何のエクスキューズもなく一瞬で心動かされる、音楽の持つ問答無用なパワーに驚かされる。作り手が本当に音楽を大好きで、音楽に対する純粋なリスペクトが全編を温かく包んでいる、そんな優しい作品だった。

 

この作品のハイライトは、ポータブルに入れたひとつのプレイリストを、ふたつのイヤホンジャックに分けて、二人がそれぞれその音楽を聴きながら街をただ歩き回るところ。その時の選曲がフランク・シナトラスティービー・ワンダーというのが何とも素直でぐっと来る。監督の人柄を感じました。

こういうデートしたら、誰でもいちころにそりゃなるよな、と思うようなロマンチックなデート、ずるい!でも若い時にこれしたかったなあ、と思うような素敵な趣向で。いつか年頃になったら子どもたちに教えてやろう。

 

二人は惹かれ合いつつも、何も言わずそれぞれの人生に戻っていく。こういう奥ゆかしさのあるエンディング、「シング・ストリート」同様最近の映画では見ないかんじで、新鮮ではっとさせられた。

 

うん、やはり彼はアイルランドキャメロン・クロウだ。人間て皆なんて可愛いんだろうと思えて来る、温かい祝福に満ちた映画だった。